PART 4
「は〜…」
ぐったりとして正樹は帰ってきた。
純は食事当番で手馴れた包丁の音がキッチンから聞こえていた。
「あ、お帰り兄さん。どうしたの?」
一番下の弟、光一が二階から降りて来た。
光一は今、小学校六年生となり、今年は中学受験を控えた受験生である。
「どうしたもこうしたも…木々原の姉貴が引っ越しちまった…」
無気力になり、正樹は玄関に座り込んだ。
「うん、そうみたいだね」
「『みたいだね』…って、知ってたのか?」
「うん。さっき純兄さんから聞いたよ」
「純兄が?」
「うん」
「あ、二人とも。晩御飯できたよ」
純が話している二人に告げた。
「は〜い」
話を中断し、二人は食卓に向かった。
仲の良かった者が去ったせいか、正樹の食はなかなか進まなかった。
しかし、純と光一は何事も無かったかの様に箸を進めていた。
「…純兄」
「なんだい?正樹」
正樹に呼ばれて純は箸を止めた。
「純兄は何とも思ってないのか?」
「何が?」
「姉貴が引っ越しちまった事だよ。全然そんな素振り無いじゃねえか」
「別に…ショックは無いよ。ちょっと驚いたけど」
「光一もだ、全然気にしてねえじゃん」
「別に…気にするほどの事じゃないよ。ねえ?」
光一の言葉に純も同意して頷いた。
しかし…純、光一と正樹の会話はどこかしら話がずれているようだった。
「白状だな。それでも幼馴染なのかよ?もう会えないんだぜ!?」
「もう会えない?…どういう意味さ?」
「あれ…もしかして正樹兄さん知らないの?」
「は?…何の事だよ?」
「だって木々原は…………」
「えーーーーーっ!!!!!????」
正樹は驚いて足がテーブルに当たり、衝撃で熱いスープをモロに足に浴びた。
「向かいに引っ越しただぁ!?」
翔が素っ頓狂な声を上げる。
朝、いないはずのめぐみの姿を教室で発見した翔がめぐみを問い詰めた所、めぐみがあっさりと言ったのだった。
「そ、あたしの引越し先って言うのは純の家の向かいなのよ」
「僕も聞かされた時はびっくりしたよ」
笑って言うめぐみに純が一言付け加えた。
「お父さんが家買ったんだけど、丁度その場所がね」
「何だよ…それなら言えって…」
「だって…荷造りとかで忙しかったし…第一、勘違いしまくって言おうとした時に何も言わせなかったのはあんたらでしょ」
「…まあ…そう言えば……」
「ま、とにかくこれからもよろしくね」
「うん。これからは近所付き合いとかもあるだろうし」
「何だよ全く…あ〜あ…何だったのかな〜…」
翔はがっくりと椅子に座り込んだ。
「姉貴ーっ!」
正樹が教室に飛び込んできた。
「正樹。どしたの?」
「昨日翔兄貴が渡した金は!?」
「ああ、あれ?餞別としてありがたく受け取っておくわ」
「はあ?」
「ありがとね、正樹」
「そんな〜!」
めぐみにこれ以上言うのが無駄だと言うことはここにいる者全員がわかっていた。
彼女はそういう人間である。
「翔兄貴。責任とってくれよ!」
「悪い。今俺は病気で金が使えないんだ」
「病気?」
「どーせ金欠病とか言うんでしょ?」
めぐみが見透かした翔のボケにその場の空気が凍りついた。
「……ばれた?」
「兄貴〜〜〜〜」
照れ笑いを浮かべる翔に向かって、正樹は指を鳴らし始めている。
「はっはっは!許せ正樹」
「許せるかー!」
取っ組み合いを始めた二人をよそに、めぐみはお気楽に笑っていた。
純は「やれやれ…」といった感じで頭をかいていた。
Days 1 END
「Tith」作者+出演者によるドタバタな座談会
作者:さーて、そんなこんだで始まりました!Tith!
出演者:イエーイ!(拍手)
作者:長かった…1話目が終わるまでが…
翔:ほんと、確か5月頃にアップしたんだろ?PART 1
作者:うん…プロローグに至っては3月……
正樹:怠け者だよな〜
作者:お前に言われたく無いわ!
めぐみ:でも読者としては早く書いてもらいたいわよね…
光一:うん。待たされると話の流れを忘れたりするからね
大地:ねえねえ…
純:あ、大地君
大地:今回、僕の出番無かったんだけど…
光一:そう言えば僕もあれだけだし…
作者:いや〜ごめん。今回は仕方なかったんだ。全員出そうとしたけどなかなか話がまとまらなくて…
光&大:言い訳するな!
作者:まあ…光一は次回、主役だからさ…
正樹:へ?聞いてねえぞ?俺が主役のB5のノート30ページに渡る大長編SFストーリーじゃなかったのか?
全員:そんなわけあるか!
バコッ!!!
正樹:ぐえっ!(床に顔をしたたかに打ち付ける)たたた…冗談なのに何も殴るこたあねえだろ!?
めぐみ:ごめ〜ん、身体が勝手にボケに反応しちゃって…
正樹:何だかもう一人いたような気がしたけど…
翔:わりぃ、俺だ
正樹:ドサクサに紛れて殴るなー!
翔:いや〜。なんか殴りやすそうな頭だったからつい誘惑に負けて…
正樹:なんじゃそりゃ…
純:………(笑っていて声が出せない)
光一:……(上に同じ)
大地:……(以下同文)
正樹:おいちょっとそこーっ!笑ってんじゃねー!
作者:そこ〜、トリオ漫才は後にしようぜ
正樹:漫才じゃねぇ〜!
めぐみ:ハイ、もう五月蝿いからちょっと黙ってて
パコーン!!!
正樹:きゅう…
翔:んで?次回は光一が主役なのか?
作者:まあね。ちょっと重いストーリーになるけど頑張ってね
光一:は〜い!
大地:……僕の出番……
作者:まあまあ、大地の主役の話も考えてあるから
大地:本当?よっしゃー!
純:まあ、これからこの物語も続いていくけど…
光一:皆さん、僕達を暖かく見守ってください
翔:ボケは結構つまらないけどな
作者:それを言うな!え〜え〜、どうせ俺にはギャグセンスは無いよ〜だ…ふん!
大地:あ〜あ、すねちゃった…
めぐみ:まあ、執筆は遅いかもしれないけどじっくり書くから最後までちゃんと読んであげてね
正樹:途中で読まなくなるのは一番辛いからな
光一:あ、兄さんいつの間に…
純:こんな僕達だけど
全員:よろしくお願いします!
純:それじゃあそろそろ次回予告と行こうか?
翔:よ〜し!
正樹:やったろーじゃん!
作者:それでは…出演者の皆さん。よろしくお願いしま〜す!
――――――次回予告ーーーーーー
純:光一ーっ!
翔:いたか?
純:はあ…はあ…全然ダメだ……一体どこに行ったんだろう…?
めぐみ:こっちにもいなかったわ…
大地:僕も見つからなかった…
正樹:純兄ーっ!大変だ!
純:どうした?正樹?
正樹:光一の奴……あいつ……
めぐみ:消えた光一とそれを探すみんなが知った真実とは?
翔:光一は何故いなくなったのか?
純:絶望的な状況の中で見つけた希望とは?
全員:次回!Tith、Days2!「幸せの再出発」お楽しみにー!
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